社会人一年目に、副部長が話された話です。当時はいまいちよく理解できませんでしたが、ふと気づくと、今は自分の部下たちに同じことを言っています。
有言実行という言葉がありますが、組合せを考えると4つのパターンがあります。
「有言実行」「不言実行」「有言不実行」「不言不実行」
さて、この中で一番良いのはどれでしょうか?
当時の私は、「不言実行」と答えました。私の部下に聞いても、同じ回答をする人が多いです。これは、指示がなくても自分でできる、「やるべきことを黙ってやる」という意味でした。
ちなみに、一番悪いのはどれでしょうか。やることをやらない「不実行」の2つが悪いに決まっています。では「有言不実行」「不言不実行」のどちらのほうが悪いか。
同じだ、という答えが帰ってきそうですが、答えは「有言不実行」です。やるやる詐欺ですね。周りの人からすると、やると言ったにもかかわらず、やってくれないと困りますよね。また、自分自身に嘘つきという悪名がついてしまい、評価を下げることになります。
2番めに良いもの、2番めに悪いものがどれかは難しいので、1番良いものの答えを先に。
一番良いのは、「有言実行」です。
なぜでしょうか。上司や周りの立場で考えると、何をやろうとしているのか、何をやっているのかを事前に知ることができ、そしてそれが実行されるので、安心できます。それはつまり、自分自身の評価を高めることになります。また、自分が言葉にすることで、自分の考えをまとめることができ、加えて、言ってしまった以上やり遂げなければならないという気持ちの後押しが期待できます。
では、2番目、3番目は何か。これは、立場によります。
自分という立場(言い換えると、自分が高評価を貰えるであろう順番)からは、2番目が「不言実行」、3番目が「不言不実行」です。「不言実行」は自分から進んでやるべきことを黙ってできているので、結果オーライである程度の評価は期待できます。逆に「不言不実行」は、あいつは何もやらないという不名誉な評価を貰う可能性があります。
結果として、自分が高評価を貰えるであろう順番は、「有言実行」「不言実行」「不言不実行」「有言不実行」です。
一方で、上司の立場からすると、その順番が入れ替わり「有言実行」「不言不実行」「不言実行」「有言不実行」になります。
なぜかというと、業務分担をする上で、誰が何をやっているのかを把握する必要がありますが、黙って作業を行われると、同じ作業を別の人にやらせてしまうためです。結果として、一人分の時間が無駄になります。そのため、自分が何をやっているかを言いもしないけど、何もやっていない「不言不実行」のほうが、黙って何かをやっている「不言実行」よりも、まだマシということになります。
とはいえ、最終的には何もやらない人が評価されることはないので、「不言実行」は「黙ってやっている分、何もやらないよりはマシ」ということで、人事評価上は「能力はあるが、使い勝手は良くない」という評価になり、「不言不実行」よりは良い評価を貰える可能性はあります。
話が長くなりましたが、自分自身が上に上がっていく上で良い順にまとめます。
「有言実行」:何をやっているのかをアピールし、成果を出すことで信頼も上がり、高評価をもらえる。
「不言実行」:能力はなくはないが、好きなことだけやっている人と見られ、評価はいまいち。
「不言不実行」:指示待ちの人と見られ、評価上は大きなマイナスポイントになる。指示を受け取ったあと、適切に成果物を納品できればマイナス評価は少なくて済む。指示を受けても何もやらない場合は、「有言不実行」と同じ扱いを受ける。
「有言不実行」:やると言っているが、実際にはやっていないので、口先だけの人と見られ、最悪の評価。加えて、何をやっているのかを事細かに報告させられ、事細かに指示される(=マイクロ・マネジメントされる)ため、全体の評価も悪いし、日々の仕事も辛くなる。
威勢が良いのは良いが、「有言不実行」にならないように、言ったことはやるようにしよう。そうすれば、「有言実行」になり、高評価を得られます。
おまけ。一番高評価を得られるのは、「有言実行」のあと、自分の成果をアピールする人です。良い成果を出しても、「私はこれを達成しました!」と言わないと、忘れ去られてしまって、せっかくの高評価を得るチャンスを逃すことになります。
日本人は、このアピールが無さ過ぎです。日本人は慮る文化ですが、ビジネスにはビジネスの文化があります。諸外国からの有能な人たちと切磋琢磨してのし上がっていくのであれば、ビジネスの文化に馴染む必要があります。
日本人の心は大切ですが、ビジネスにおいては「有言実行+アピール」を目指しましょう。
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