能力や責任感のある人ほど、陥りやすい問題の続きです。
「自分でやったほうが早い」「自分でやったほうが正確」
その気持ち、よくわかります。でも、あなた一人でどんなに頑張ったところで、1日の成果物は24時間分以上を出すことはできないのです。
新しい仕事が来たら、まずは勘所を押さえる。
そして、勘所が分かったら、さっさと別の人にやらせる。勘所が分かっているので、その人が仕上げたものが問題ないかをチェックすることができる。
そうすれば、自分は別の新しいことをやる時間ができるので、次のことを始められる。
今考えると、父ちゃんが大学生の時、あなた達のひぃおじいちゃんが、同じことを話してくれたことを思い出しました。その時は「そうだよね」と分かっていたはずですが、長年忘れていて、この歳になって同じ結論にたどり着き、昔言われたことを思い出しました。
もう一つ正直に言うと、こうは言っていますが、父ちゃん自身が人に仕事を任せられるようになるのに、何年もかかりました。日々時間に追われ、一つ一つの仕事を少しでも早く、少しでも正確に終わらせることで、全体の仕事を早く終わらせようと必死で走っていました。でも、どんなに早く走っても、出せる速さには限界があります。
また、理系エンジニアなので、正確さにはこだわりを持ちやすい性格でもあり(今度、このことも記事に書きますね。)、他人の成果物には不安を持っていました。
人に任せると、時間がかかったり、内容が不正確だったり、いつ出来上がるのか心配する必要があります。それに対処するテクニックはいくつもありますが、極論を言ってしまうと、部下を信じて任せ、適宜軌道修正をして、自分の求める方向に向かうように仕向けるくらいしかできません。もう、慣れるしかないのです。
それができるようになると、自分ひとりで出せるよりも、より多くの成果が出せるようになります。それに伴って、自分の利益も増えます。これが、マネージャになるという意味です。
理系エンジニアにとっては、この違いは、価値観の大転換であり、大きな登竜門です。父ちゃんの会社にも理系エンジニアはたくさんいますが、この門をくぐり抜けられる人はあまりいません。自分の強みを捨てることになる(ように感じる)恐怖が原因だと分析しています。
確かに、一度登ったはしごを一旦降りて、別のはしごに登るような感じがします。何でも自分でやれることが自分の強みだったのに、それをやめて、自分では直接手をくださずに成果物を作り上げる方法を学ばなければならない。
でも、それが学べれば、鬼に金棒のようなものです。技術面がわかるので適切な方向性を打ち出すことができます。また、人を使えるので、自分だけのときよりもより大きな成果を上げることができます。正しい方向に、より大きな成果が出せれば、ベストだと思います。
若いうちは技術力を追い求めても良いと思いますが、どこかでパラダイム・シフトが必要だということを覚えておいてください。でないと、いつまでも人に使われる立場に居残ってしまいますよ。
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